病名 動脈硬化症・脂質異常症
原因 例えば、血管壁の内膜と中膜にコレステロールが沈着すると血管壁の弾力性がなく
なったり、血管壁が厚くなったり、血管内腔が狭くなったりし、血流が悪くなります。
こうして動脈硬化症が起こると血液の流れが悪くなり、体循環が保たれなくなり、
そこから先は壊死状態となり、心疾患(心筋梗塞、狭心症)、脳血管障害(脳卒中)
等を引き起こします。
他にも、動脈硬化は、肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった脂肪肝を起因し
起こる場合もあります。
こうした事から、動脈硬化症は脂質異常症と重要な因果関係があるとみられており、
食事療法の果たす役割が重要視されています。
動脈硬化の危険因子:高血圧・脂質異常症・喫煙習慣・糖尿病・肥満・痛風など。
( 中でも赤字は三大危険因子 )
診断
血液検査結果により診断。
*当院正常検査値
症状 内臓疾患を引き起こして初めて症状が出る事が多い。それゆえ、予防が大切。
若年世代に動脈硬化が及んでいることからも推察されます。そのため、高齢者のみではなく、
低年齢児からの予防食が必要とされています。遺伝的に生じる「家族性脂質異常症」等の
基礎疾患があって脂質異常症を示している場合以外は、食事に対する本人の努力で治療は
可能となるため、正しい知識をもつことが予防策につながります。
改善 危険因子(高血圧・高脂血症・たばこ・糖尿病・肥満・痛風など)の排除。
◆LDLコレステロールの高い時:
心筋梗塞を始めとする虚血性心疾患と密接な関係にあるため、
1.LDLコレステロール1日300mg以下での食事摂取に努める。
(例えば卵なら71.5g(1個半弱)だけでコレステロールは300mgになります)
*第二段階では、コレステロール摂取量の制限は1日200mg以下とされています。
**当院の脂質異常症食(LDLcho)は1日150mg以下を基準にしています。
2.ビタミンCの多い野菜の摂取を心がける。(果物は摂りすぎに注意)
3.LDLコレステロールを下げる油を日常調理で活用する。
LDLchoを下げる効果のある油:オリーブ油・ゴマ油 など。
*古い油は特に避けたいので、揚げ物の購入は避けるが懸命・・・
4.食物繊維の多い食品を意識して献立に取り入れ摂取すること。
5.腹囲と体重を時々測定し、適正であるかを確認。
◇中性脂肪が高い時:狭心症、糖尿病との関係が深く、
1.アルコール・糖分の多い食品・揚げ物の制限が原則。
2.炭水化物に偏るバランスの悪い食生活では、バランスを整える。
(炭水化物は必要な栄養素なので、現在の摂取量を確認し、
今後の適正目安量を栄養指導などで確認するのがオススメ)
3.腹囲と体重を測定し、適正であるか確認する。
4.6〜8時間程度の睡眠時間の確保(睡眠は、不足も、長過ぎるのも、体に悪影響)。
*日中の水分不足は、夜中の排尿につながり眠りの分断を起こし易くなるので、
心当たりがあれば改善を。また、早く眠り過ぎると一番寒い夜中に目覚めるので、
あまり早く寝過ぎるのも考えよう。
◆HDLコレステロールの低い時:
HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、動脈壁などの末梢組織から余分な
コレステロールを肝臓へ送るという良い役目があり、動脈硬化の抑制が期待できます。
低下する原因 :喫煙、肥満、運動不足、常温で固体の脂(肉の脂身等)の摂取過多等が
あります。原因の排除を心がけてください。
上昇させるポイント:少量のアルコール、運動、オリーブ油(HDLコレステロールを増やす油)等を、
規則的でバランスの良い食事に取り入れる事も、
効果的な改善方法とされています。
食事の注意点
◆LDLコレステロールの高い場合
@コレステロールの高い食品★を控える
★軟体系:いか、うなぎ、たこ・海老・ウニ等
★生クリーム・バター系:生クリーム、バター、カステラ、フランス料理等の生クリーム系ソース、バターロール、レーズンバター等
★チーズ系:チーズ、チーズケーキ、チーズソースなど
★獣脂系:豚脂、牛脂、脂身の多い肉、鶏皮下の脂、豚バラ肉、霜降高級牛肉 等
★卵系:卵は1日1個までとし、隠れ卵を余計に食べた時は、当日か翌日の卵を控える
隠れ卵→ハンバーグ・天ぷら・プリン・茶碗蒸し・ケーキ・クッキー・クリームパン等
★魚卵系:すじこ、いくら、たらこ、子持ちの魚
★内臓系:レバー、あさり、しじみ、子持ちししゃも、さんま(腸)、しらす
A動物性脂肪を控えて植物性油(オリーブ油・ごま油はLDLコレステロールを下げてくれる)を
多く摂取する事。魚介類の油脂は植物性油脂に分類されるが、魚油とゴマ油は、そればかり
大量摂取するとHDLコレステロール(善玉)が減少するという報告もあるので、炒め物等の調理
方法で摂取し、食事バランスに気をつけると良い。
*肉を焼く際には、植物油を引いてから焼く方が、ひかずに焼くより、肉脂は減少。
BビタミンCの多い食品(ブロッコリー、カリフラワー、赤・黄パプリカ等)を、
できるだけ毎回の食事に取り入れ、会席料理の前菜の様に「野菜料理」から食べきる癖をつける。
(最初に食べる物が一番吸収良い上、野菜料理だけで食べるとよく噛まずには飲み込めないので、
色々な良い効果が期待でき、太りにくい食べ方でもあるので、一石二鳥以上のお得になります)
C食物繊維(きのこ類(椎茸、木耳、舞茸など)、
海藻類(海苔・わかめ、ひじき、こんぶ等)、
根菜類(ごぼう、切干大根など)、
大豆製品(納豆、枝豆、豆腐など)、
蒟蒻(蒟蒻芋の蒟蒻にはセラミドが豊富です。
皺のばし・保湿・美白・アレルゲン反応の減少などの効果があります。
精粉こんにゃくになると、セラミド量はぐっと減ってしまいます)
果物(柑橘類・りんごなど)・・・を 食事の中でバランス良くとるように心がける。
*忘れていそうな食材があったら、普段の食事に追加してみるのも一手です。
◇中性脂肪(TG)が高い時 : アルコール・糖分の多い食品・揚げ物の制限が原則。
炭水化物に極端に偏るバランスの悪い食生活では(まずは一週間の食事を記録!)、
偏り加減で炭水化物量の割合を減らしつつ、不足の栄養素を多く含む食品を加えて、
一回一回の食事量をしっかり確保しつつ、一日の栄養摂取バランスを整えてゆく。
1. 糖分の多い食品の制限(食べる量やタイミングの見直しを)
(スポーツドリンク等の加糖飲料、果物、一般的なお菓子、甘辛味の食品(佃煮・蒲焼等))
2.炭水化物の多い食品(ごはん、餅、パン、麺、芋類、南瓜、レンコン、トウモロコシ、
大豆以外の豆、麩、春雨、栗、銀杏、ユリ根、小麦粉、片栗粉、
コーンフレーク、砂糖、蜂蜜、黒砂糖、酒、果物等)
3.偏食の改善ポイント(味の濃いおかず時は、おかず量が少なく主食が多くなりがち。
飯の友は、最後の最後に登場させ、それだけでご飯を食べない事)。
【食事の組み立てを考える(主菜・副菜・主食・飲料に分けて組み立てを)】
主菜:蛋白源になる食品の多いおかず(肉・魚・卵・大豆製品等の多い食品)
副菜:ビタミン・ミネラル・食物繊維の多いおかず(野菜・茸・海藻・蒟蒻の多い食品)
主食 :炭水化物の多い食品(ごはん・パン・麺など)
飲料 :砂糖や塩分の入っていない、温かいお茶等を選択すること
*野菜は、生より加熱調理(炒め物、鍋物、煮物など)がお薦めです。
◆HDLコレステロールの低い時
改善方法には、肥満・運動不足・常温で固体の脂(肉の脂身等)摂取過多の改善、
禁煙などが基本で、少量のアルコール、運動、オリーブ油等(HDLコレステロールを増やす油)を
規則的でバランスの良い食事に取り入れる事も、効果的な改善方法とされています。
当院では、診察時間の間、いつでも栄養指導を行っておりますので、
もし、面白そうだと感じて頂けましたら、当院ご診察の上、お気軽にご利用くださいませ