病名:糖尿性腎症
原因:
血糖値コントロールの不十分さが原因で、
糸球体(腎臓)が細小血管障害のために硬化し、機能する数を減じて起こる腎機能障害。
*糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症の発症も同様の機序
症状
第3期Aまでは症状は殆どない。
Bからは、低アルブミン血症による浮腫やうっ血性心不全を生じることもある。
第4期は浮腫に加え、倦怠感、悪心、精神的不安定、掻痒感などの尿毒症症状が生じ始める。
インスリンは腎臓で一部代謝・排泄されるため、この病期に至ると腎機能低下に伴い、
体内にインスリンが蓄積し、血糖コントロールに内服薬やインスリンが不要になることもある。
(★)また第4期では、一部の血糖降下薬は活性代謝物が溜まり、
遷延性の低血糖を起こしやすくなるため注意が必要である。
第5期に入ると、透析療法か移植を行わないと尿毒症症状が容易に生じ死に至る。
浮腫、うっ血性心不全、高カリウム血症、高リン血症、高マグネシウム血症、低カルシウム
血症、が起こり易く、ビタミンD活性低下による骨異常栄養症を併発する事もある。
また高血圧や低血圧、貧血、消化管出血、
高窒素血症から尿毒症症状(吐き気、嘔吐、食欲不振、痙攣、昏睡)を起こす事もあり、
この症状が現れたら、何時でも、できる限り早く受診する事がオススメです。
診断
採尿検査(尿一般検査、尿中微量アルブミン測定)
血液検査 HbA1c(過去1〜2か月間の血液中のブドウ糖の平均)
BS(採血瞬間の血糖値)
BUN(尿素窒素)
Cr(CRE(
クレアチニン。透析導入を判断する一つの基準となる)
*HbA1c(NGSP)は、これまでのHbA1c(JDS)値と比べて、およそ0.4%高くなります。
血糖管理の目標値も0.4%高くなりますので、ご注意を。
改善
初期の段階では血糖コントロールによって進行を遅らせることができるため、
血糖コントロールが重要。
食事療法 *Dr.指示のもと、栄養士に相談
(透析前)
@ 血糖コントロール・糖尿病食品交換表の活用がおススメです。
A 蛋白質制限
腎臓病交換表の活用がおススメです。
B 水分制限
C カリウム制限
D 規則的に必要な栄養量の摂取を行う
E 塩分制限
(透析後)
@ 血糖コントロール ・糖尿病食品交換表の活用がおススメです。
A リン制限
B 水分制限
C カリウム制限
D 規則的に必要な栄養量の摂取を行う
E 塩分制限
*透析前と後の食事内容の違いは、蛋白制限の解除と、リン制限の出現です*
透析が腎臓の役割を果たすため、透析前と変わります。(戸惑う方が多い点)
蛋白質の制限・・・腎機能が落ちた状態のまま処理機能よりも多くの蛋白質を食べると
窒素が血中に残留。
透析後 ・・・透析により蛋白質の処理機能が通常に回復
(食べすぎて良いと言う訳ではありません)
リン制限・追加・・・リンは透析膜では濾過できず、食べ過ぎると高リン血症に。
もしご興味を持って頂けましたら、
当院では、診察時間の間、いつでも栄養指導を行っておりますので、
当院ご診察の上、お気軽にご利用くださいませ。