病名:腸炎
原因:
急性腸炎(急性下痢症)
繊維など不消化食物の多常食、食物の腸管内での異常発酵、暴飲暴食、腹部冷却、
病原性大腸菌・ブドウ球菌・サルモネラ菌・赤痢などの細菌感染、ノロウィルス等に
よるウィルス感染、種々の薬物、食事性アレルギー、ストレスなどによる刺激により
腸管に異常が起こる。
慢性腸炎(慢性下痢症)
繊維の多い食品の過食など、腸管への刺激が原因の場合もあるが、胃無酸症、
膵機能低下、心理的因子などの原因が多い。また、背後に器質的疾患が
隠されている場合も多い。
症状:
急性腸炎(急性下痢症)
一般的には全身倦怠感、悪心、下腹部の疼痛に続き、下痢を起こす。
1日数十回の激しい場合もあるが、急性下痢は長くても数日で回復する。
病原性大腸菌やノロウィルス等の細菌やウィルス感染性の場合は、発熱、粘血便を伴う
場合も多く、下痢も激しく脱水症状を起こすので、
補液などの速やかな水分補給が必要である。
慢性腸炎(慢性下痢症)
下痢や腹部不快感があるが、膨満感や腹痛を伴う場合もある。長期間下痢が続くため、
体重減少、貧血、衰弱などがみられる。過敏性大腸炎では栄養障害は殆どみられない。
診断:
急性腸炎(急性下痢症)・慢性腸炎(慢性下痢症)
糞便検査を行う。
肉眼で、形状・硬度・量・色・粘液・出血の有無などを検査。
肉眼で判明しにくい時は、潜血反応を行う。
改善
急性腸炎(急性下痢症)
@ 症状が軽いときは1〜2回、激しい時は1〜2日絶食。脱水症状を防ぐため、
湯冷ましや番茶を適量とる。特に症状が激しい場合は非経口的に点滴等で補給する。
症状が落ち着いたら流動食、分粥食、軟菜食へと進めてゆく。また、症状に応じ、
流動食、分粥食の段階を飛び越して、軟菜から開始となることもある。
A 消化がよく栄養価の高い食品を、軟らかく調理して摂る事。
B 食事アレルギーによる場合は、牛乳、卵、背の青い魚(さば)、かに、えび、かき、
肉類、たけのこ等、アレルゲンとなる食品を避ける。
C 繊維の多い野菜や果物、油脂類や脂肪の多い獣鳥肉類・魚介類、香辛料、アルコール、
コーヒー・紅茶等のカフェイン飲料、炭酸飲料、発酵しやすい食品、極度に冷たいもの
などは腸に刺激を与え、下痢を助長するので避ける。
D 油脂は高エネルギー食品なので取り入れたいが、取り入れる際には消化しやすい
乳化された油脂の摂取が良い。バター、クリームなどを一回に少量とるのが良い。
牛乳も栄養価が高く利用したいところだけれど、下痢を助長しやすいので
与え方に注意する必要がある。(冷牛乳×→温牛乳・ポタージュ・茶碗蒸し等○)
E 一回の食事量を減じ、頻回食にする。
慢性腸炎(慢性下痢症)
@ 第一に原因を鑑別し、原因を改善すること。
A 食事療法としては、急性下痢症と同じく繊維の多いもの・脂質の多いもの(消化の良い
乳化された状態の油脂はOK)・香辛料・アルコール・コーヒーなど、
腸に刺激を与える食品を避け、食物繊維が少なく栄養価の高い食品を選ぶ。
B 消化のよい調理法を選び、温度は体温程度が最も良い。
栄養状態がかなり低下している重症時は、非経口的に栄養を補給すること。
食事療法
急性腸炎(急性下痢症)・慢性腸炎(慢性下痢症)
流動食、軟食、常食に準じる。穀物は精白度の高いものが良い。
似た味でも、皮むき後の栗や南瓜は消化が良いが、薩摩芋は繊維が多く下痢を助長しやすい。
豆類では豆腐(皮が無い)や、ひきわり納豆(丸のままだと醗酵していても消化しにくい時が
ある。丸のままよりは傷がついている方が溶け易い)が良い。
肉は鶏肉・魚は白身が望ましく、共に皮・骨は間違えて口にしないよう、先に外すと良い。
野菜では大根、人参、ほうれん草、ブロッコリー、カリフラワーなどが良く、
果物ではリンゴなどの 種・皮を外せる刺激の無いものが良い。