病名:高血圧症
高血圧だけでは症状が出ることはありませんが、
血圧の高い状態が続くことで心臓血管疾患や脳疾患などの発症が起こる可能性が高くなります。
だから、日常生活や食事の中での高血圧予防を心がけることが大事となります。
診断 血圧は血液が血管を流れる時に血管壁に及ぼす圧力のことです。
最高血圧と最低血圧の差を脈圧といい、約40mmHg位。
この差の少ない時は、心臓が収縮した時と拡張した時に血液を送る力がないということで、
収縮力が不十分で心臓の効率が悪いことになります。
「血圧」は、心拍出量、循環血流量、血液粘稠度、動脈の弾力性、末梢血管の抵抗
などの素因により左右されます。
また血圧は、身体、精神活動の状態や季節により変動する事を、考慮する必要があります。
■ 高血圧の種類
高血圧の原因は、ほとんどが個々の要因に因るものとされていて、
因果関係がハッキリと明確ではありません。
過労、ストレス、偏食生活、冷え、睡眠の質など、人により高血圧症の原因が様々だからです。
また、血管性因子、内分泌因子異常、腎臓機能障害、中枢神経異常等も一因になります。
心臓 ・・・動悸、息切れ、不整脈、狭心症、心筋梗塞、頭痛、呼吸困難
腎臓 ・・・浮腫、夜尿、尿量減少、尿毒症、たんぱく尿、腎不全
目 ・・・視力低下、眼底出血
消化器・・・食欲低下、便秘、吐き気、腹痛
脳 ・・・手足のしびれや運動障害、一時的な記憶喪失、重症の場合は脳卒中や脳出血
予防
高血圧は短期間に出現するものではなく、比較的長期間の日常生活のあり方や
日頃の食習慣が本疾患の発症頻度に深く関連していることが、
疫学的調査で示されています。
本症は放置しておいても自然に治癒することはなく、着実に進行して
脳血管、心臓の冠状動脈および腎動脈など全身の諸動脈に障害をひろげるので、
原因を見つけて、予防に努めることがお薦めです。
改善
高血圧の治療では、一般療法(生活療法、食事療法、運動療法)と薬物療法が基本です。
一般療法だけで高血圧が改善できる場合と、薬物療法を併用する場合がありますが、
薬物療法を用いる際にも一般療法は欠かせません。
高血圧の進展を防ぐには食生活療法が重要です。
生活面からも、ストレスを解消し(一日15分だけでも読書などの没頭できる時間の確保をする等、
日常的なストレス解消を)、過労を避ける(10分間だけ昼寝等、疲労回復方法の確保に心がける)
など、高血圧の軽減に努め、動脈硬化などの合併症を予防しましょう。
肥満と関連
諸統計において肥満と高血圧の出現率の相関性はかなり高く、
肥満改善は高血圧改善となります。
例えば、肥満度が標準体重を20%超えた場合では、
高血圧の発生頻度が2倍以上となります。
タバコと関連
タバコを吸っている間、吸い終わった15分の間は、いずれも血圧が通常時に比べて上昇します。
医師の診察直前には吸わないため見つけて貰えない喫煙による高血圧は「仮面性高血圧」と呼ばれます。
発見されないのでケアされませんが、血管負担は通常の高血圧と同様にかかってきます。
タバコを吸う機会が増えれば増えるほど、高血圧でいる時間が増大し、動脈硬化リスクが増えると
想像すると、覚悟なく行っていた喫煙習慣の恐ろしさを改めて感じるのではないでしょうか?
アルコールと関連
美味しくお酒を飲む為に、水分をギリギリまで我慢される方々がいらっしゃいますが、
アルコールには脱水作用があり、脱水すると血圧は上昇します。
水分摂取は定期的に行い、アルコールを飲む際には飲み終わった後を考え、
一口毎に、チェイサー(追いかけお湯)をお供に楽しんでみてはいかがでしょうか。
香辛料と関連
直接的な影響をもつという報告はありません。
わさび、唐辛子、カレー粉等の香辛料も、イメージ的には血圧が上がりそうですが、
実際には、血圧上昇に直接の影響はもちません。
高血圧の予防・改善につながるポイント
高血圧を悪化させる⇒原因を減らす
1.コレステロール・飽和脂肪酸(獣脂やバターなど)の摂取量が多い⇒多い食品を確認しに、栄養相談へどうぞ♪
2.体重過多⇒必要ならば減量(BMI.25以上は未満に)⇒MBI.25未満の体重を目標に、栄養相談へどうぞ♪
3.塩分が多い⇒塩分6g未満の適塩食を楽しむために、栄養相談へどうぞ♪
4.水分不足⇒飲んでいる水分量とタイミングをメモして栄養相談にどうぞ♪
高血圧を予防改善:
1.カリウム含有量の多い食品(茸・海藻・野菜・豆など)の摂取増加
2.運動
(普通の運動だけでなく、温かいお茶を食事の前に飲み筋肉を温めて、
バランス良い献立を、良い姿勢でよく噛んで食べると体の内側も良く動きます)
3.節酒(エタノールで男性20〜30ml以下 ビール350cc程度 日本酒1合程度を目安にどうぞ)
4.禁煙
5.睡眠の質の改善(よく眠れていますか?)
6.室内外の温度管理(温度差の緩和)
7.ストレス解消・・・等があります。
全て一度に始めなくても、やり易く、効果が得られるところから、
日常習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか?
1.
減塩は非常に効果的!
■ 体内へ塩分の足し算を減らす → 今よりも減塩を目指す
減塩をする事で高血圧は改善する。(減塩が理由で血圧が上がることはない)
1日の塩分適量は1.5g〜7.5g/日
(世界の一部地域では1日の塩分が1g未満でも人は生きています。
高血圧改善では、1日の塩分4g未満が、現在の世界基準のようです)
高血圧で無い方々も、塩分6g程度の制限食に付き合う事は悪いことではなく、
むくみや冷えによる体重増加の改善(肥満予防)・脂質異常症・高血圧・心臓疾患・腎臓疾患
の予防や改善につながります。
塩味を浮き立たせるのにオリーブ油やごま油を効果的に使う方法や、
酸味を使う方法、肉や魚やトマトや茸や海藻などの旨みを上手に使う方法、
表面に塩味を使う、甘みを余計に足し過ぎない等、美味しく楽しい方法も一杯あります。
<病院の食事の塩分目安量>
ごはん+メイン料理(1g程度)+小鉢(0.5g程度)を2つ+半分量の味噌汁(0.8g程度)
病院では、大体、上記の目安でお料理を作成しています。
汁を抜くと、1食2gですので、それを1日3回食べると6gとなります。
(*朝食のパンや、日曜の麺には、塩分が多く含まれているので、
実際の病院での献立作成には、もう少し工夫をしておりますが、
長くなるので、ここではアバウトに説明させて頂きます)
お家では、一日の中で下記の食品を取り出して6回に分食するのも宜しいのではないかと、
提案させて頂きます。
・朝食と昼食の間の9〜10時頃に果物少々と温かいお茶(夕食や朝食の分をお引越し)
・昼食と夕食の間の3時頃にヨーグルト100gと温かいお茶(朝食や夕食後の分をお引越し)
・入浴前に温かいお茶を飲み、入浴後にヨーグルト100gとお茶(朝食や夕食後の分をお引越し)
食べる度に体の中が動きますので、一日量が同じなら、
一回に多く食べるよりも、一日の中で分けて、体の中をこまめに動かした方が、
動作する機会が多くなる分、消化が上手になるのと、食べると温かくなる事で、
血圧も下がり易くなるのではと考えるためです。
また、量が同じなら回数は多い方が痩せ易いです。(太りたいお相撲さんは、1日2食です)
■ 体外へ塩分を排出させる食品を増やす → 今、食べている量よりも増やす
塩分を体外に排出させる食品は、カリウムを多く含む食品です。
(*腎臓病の場合、カリウムは制限されます)
カリウムが多く含まれる食品:野菜・茸・海藻、豆類、芋類等
★「余計な塩分8gで体内に水分1kgためる」と言われていますので、
減らせる塩分に心当たりがあれば、それを減らすことで、
今よりも体重減少につながります。(むくみの解除)
2.コレステロール・飽和脂肪酸の摂取減少、
背の青い魚の摂取量増加で血液をラサラに
ごま油、オリーブ油、一部の機能性マヨネーズ等には
LDL(悪玉)コレステロール値を下げる効果があります。
また、LDLコレステロールはビタミンCと一緒になって、
性ホルモンや血管壁、細胞膜の材料ともなります。
体の材料になれず血液中に残ったLDLコレステロールを、どうにか消化して、
本来の役目通り、体の材料にするのも1手です。
(タバコ1本で1日の1/4のビタミンCが失われるそうです。
また、ストレスでもビタミンCは減ってしまいます。
食べる量よりも、失う方が多い場合には、
LDLコレステロールの相方も不足してしまうのではないでしょうか?
禁煙は、とってもお得です)
魚、特に背の青い魚には、血液をサラサラにする効果があります。
肉を食べてはいけないわけではなく、
2・3回に1度の割合でも、魚を食べると効果があるようです!
LDLコレステロール値上昇が原因の高血圧では、LDLコレステロールを下げる事で血圧も下がります。
DHA・EPA・食物繊維・Mg・Caは血管の若返りにつながる血管に良い食材です。
年齢を重ねる度に血管は硬くなるので、若返りの食材もお忘れなく!
3.体重管理も大事なポイントです!目標BMI25以下
体重は記録するだけでも痩せる事が知られていますが、
塩分を摂り過ぎている人が適塩にすると、体重は減少し易くなります。
他に痩せるポイントとしては、
規則的な食事、質の良い睡眠(連続6〜7.5時間が理想的。眠り過ぎも、不足も悪影響が・・・)、
口の中よりも温かい水分の摂取、良い姿勢、運動、節酒、バランスの良い食事などが
太り難い身体作りのポイントです。
<和食の利点>
米は、塩を全く含有しない食材であり、亜鉛をはじめとするミネラルやタンパク質を多く含み、
おかずのバリエーションも豊富で、脂肪摂取量を抑えることができます。
ごはんは、油で料理せずとも魚や海藻と良く合うので、
脂肪量を増加させずに沢山摂取することができます。
4.適量の水分摂取は高血圧の予防改善に効果的です!
1日の目安量は、マグカップ(250cc)で8杯(2L)です。
*口の中よりも温かいお茶がお薦めです
飲み物は1秒から10秒で胃まで筋肉も使わずに流れ落ちますので、
口の中よりも温かい飲料で、
甘くない、塩味の無い、温かいお茶がお勧めです。
<お勧めの飲み方>
1.朝起きて1杯、 2.食事の前・後に各1杯、 3.入浴前に1杯 = 8杯
1.朝起きて直ぐの1杯は、眠る前から目覚めるまでの間に不足した水分を補うため、血流を良くします。
2.食事の前の温かいお茶は、食事の際、蠕動運動などで動く筋肉を、動かす前に温める効果があります。
食事の後の温かいお茶は、虫歯予防の効果と、消化を助ける効果があります。
3.入浴前の温かいお茶には、入浴後の血圧上昇予防効果と、シワの予防効果があります。
★日中にしっかり水分摂取し、しっかり排尿すると、夜中の排尿回数の減少に繋がり、
夜中にトイレに起きなくても済むことで、更に血圧が安定しやすくなります。
5.その他・・・
★ストレスや運動不足 → 共に血圧上昇の一因になります
★夜間高血圧→塩分量(循環レベルが悪いと、日中だけでは対応できず高血圧に)と、
睡眠の質による影響が
★血圧変動(モーニングサージ)
*例えば早朝、飲まず食わずにジョギングは非常に危険!!
時間帯 頻度の高い発生危険事項とされるもの
am6〜11 心臓突然死の発生頻度の高い時間帯
am6〜12 血栓性脳卒中の発生頻度の高い時間帯
am5〜12 心筋梗塞の発生頻度の高い時間帯
★眠りの分断 → 血圧上昇の一因
起きる時間でない時に起きる(夜間排尿、ラジオやテレビや電灯の点け放し等)、何度も起きる。
★冷え → 血圧上昇の一因
寒い冬の時期は、温度差による血管収縮が一番怖い!
ちょっとそこまで・・・、家の中だから・・・という油断が大敵!
例えば、入浴後の(温度差の大きい)脱衣所では、血圧は一気に高くなる可能性があります。
トイレに入る際、入浴時、上着も着ずにゴミ捨てに行く早朝、部分冷え性(血流が悪い)、
冷たい水分ばかり飲む習慣、くるぶし・足首が出る靴下の着用。
暑いからと、ずっと同じ肌一点に付け放している体温よりも冷たい物、
汗をかいても着替えずにいること等・・・、
日常生活の中に隠れた温度変化も一因に。
また、余計な塩分摂取は浮腫みや冷えにつながります・・・
余計な塩分が8g募ると、体に水分を1kg貯め込むと言われています。
浮腫むと冷えます。冷えると血流が悪くなります。
冷えることで血流が悪くならないように脂肪がつき易くなります。
脂肪がつくことで血流が悪くなります。
余計な塩分には、あまり良いことが無いようです。
もし、食事の話や生活の中のポイントについて、ご興味を持って頂けましたら、
当院では、診察時間の間、いつでも栄養指導を行っておりますので、
当院ご診察の上、お気軽にご利用くださいませ。