病名:肝炎
原因:肝臓病は、発生原因や臨床症状により分類される。
1、ウィルス性肝炎
ウイルス感染により、肝臓に急性の炎症を生じ、肝細胞の壊死や細胞機能の低下が起こる状態を急性肝炎、
肝臓の炎症や肝臓機能検査異常が6か月以上持続している状態を慢性肝炎という。
A型肝炎は、A型肝炎ウイルスによって発病し、患者の排泄物で汚染された食べ物、飲料水の
摂取により経口的に感染する。日本では急性肝炎の2〜3割を占めている。一度感染する
と
抗体ができ、再び感染はしない。従って肝硬変に移行することはない。衛生上と密接な関係が
あるため、抗体をもたない人が衛生状態の悪い東南アジア、アフリカに行き、この肝炎に罹患
してしまうことが多い。(昭和41年以降の出生者は抗体を持っていない可能性が高いので
渡航の際には事前にご注意を)
E型肝炎はA型と同じく経口感染。大流行する特徴あり。妊婦がかかると劇症肝炎になる。
日本ではあまり問題にならないが、大流行地域から帰国した人による輸入肝炎がある。
B型肝炎は、血液・精液・体液を介して感染する。日本では殆どみられないが欧米では、
デルタ肝炎というB型肝炎の人のみが感染し、劇症肝炎、重症肝炎になる感染症もある。
B型肝炎には、持続性感染(出生時に母親から感染したり、幼児期に感染した時のウイルス
を一生持ち続ける。症状としては軽い肝炎だが、肝細胞が破壊されたり治ったりの繰り返し
をすると、次第に肝硬変へ進行)と、一過性感染(98%完全治癒型。2%は劇症肝炎に移行)
がある。
C型肝炎は非A・非B型肝炎ウイルスの中で、B型肝炎ウイルスと同じように血液感染。
C型肝炎は慢性化し易く、肝硬変、肝癌と、病気の進展と共に病状変化しやすくなるので
ご注意を。
2、 アルコール性肝炎は、肝臓の分解処理能力を超えたアルコール摂取が原因。
3、脂肪肝 中性脂肪が異常に蓄積した状態。→動脈硬化や肝臓癌に進行するとの指摘もある。
4、肝硬変
肝細胞が障害され、肝細胞壊死が起こると、その回復・再生が起こり、繊維が増える。
これがくり返され、肝臓が硬く、萎縮し、表面も凸凹になった状態。
肝臓が硬くなったり血管の流れがスムーズでなくなるために、食道胃静脈瘤などが起こる事
もある。
( 食道胃静脈瘤の場合、下記の食事注意に加え、硬くないもので、熱過ぎず、冷た過ぎず
という注意が必要 )
*食道・胃静脈瘤の診断には、上部消化管内視鏡が有用である。
食事療法
★ポイント
@ 普通量が食べられない時は回数を増やすこと。
A 脂質制限(肝臓機能の状態に合わせて食べること)
B 香りの強いもの、生臭いもの、コーヒーは避けること。
C アルコール飲料は原則禁止。
D 減塩
E 刺激のあるものは避けること。
F 蛋白質は、動物性で脂身の少ない物を選ぶ工夫を。
G 規則的な食事をこころがけること。
H 食物繊維を、たっぷりとる。便秘は大敵なので予防のため、野菜や海藻を沢山とる工夫を。
I 飲み物は、口の中よりも温かい水分がオススメです。 便秘予防には計画的な水分摂取も効果的!
注意ポイント!
塩分・・・控え目に。酸味は肝臓を助けてくれますが、梅干しや寿司酢は塩が多いのでご注意を。
酢 ・・・酸味は肝疾患を助けてくれます。調味料として酢やレモン酢、ポン酢のご利用がオススメです。
(お好みならば食品と一緒に摂取する調味料の一つとしてお勧めですが、
phが低すぎる酢を「酢だけで飲む」のは別の話です)
蛋白質・・・肉・魚・大豆など、良質なアミノ酸バランスの良い食品を意識し、
過不足なく摂取が望ましい。
但し、病状に合わせて、その食品に入っている油脂量にはご注意を。
炭水化物・・・エネルギー不足分は自分の体の分解につながります。
最大のエネルギー源である炭水化物(米飯など)は計画的に食べること。
油脂 ・・・良質な油を、
(ゴマ油、オリーブ油等はLDLコレステロールを下げてくれる働きがあります)
効果的な調理方法時に適量、
(ビタミンA等の脂溶性ビタミンは、炒め、炒め煮等で効率よく摂取できます)
摂取しすぎない(揚げ物は禁止)程度に摂取すると、
美味しいだけでなく、体にとってもお得です。
*隠れた油脂にご注意を!
ナッツ類、ゴマなどは体に良いと思って食べていても、実は油が沢山含まれています。
例えば、うっかり食べていたアボカドや、肉には少なくとも鶏の皮部など。
例えば、ツナの缶詰には「スープ」と「油」の2種類がありますので「油漬缶」や、
体に良いとされる背の青い魚や、鰻などの油の多い魚、
揚げ物やポテトチップス、パイや生クリームは見える油ですが、
知らぬうちに肝臓に負担をかけなくてすむように、
先回りして、よく食べる食品の性質を知っておくことも大事だと思います。
野菜・茸・海藻・蒟蒻・・・肝疾患の最大の敵の一つは「便秘」です!
食物繊維やビタミン・ミネラルの豊富なこれらの食材を、
消化が良く腹を冷やさないように加熱調理し、
美味しく沢山摂取するように心がけましょう!
もしご興味を持って頂けましたら、
当院では、診察時間の間、いつでも栄養指導を行っておりますので、
当院ご診察の上、お気軽にご利用くださいませ。